「イヤだ!なんで私があいつらと飲まなきゃいけないの?絶対イヤだわ」
合コンの誘いをするなり、Iさんは即答しました。
「何がイヤなんですか?」
私が、なぜそこまで激しくIさんが拒否するのか分からず、理由を聞いてみました。
Iさんは、すぐに答えました。
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「だってさ、K、A(IさんはKさんとAさんを呼び捨てにしている)、Hくんだよ。そのメンバーでお酒飲んで楽しいわけないじゃない、お通夜みたいにシーンとした場になるに決まってるし、第一、酒がまずくなる」
「あんな暗い人たち、私とは絶対に合わないし、むさ苦しいだけ」「暗いのばかり、よく集まったもんだ」
Iさんの拒否反応に、私は、そこまで否定することはないだろうと思いました。なぜなら、私はKさんとHくんが放つ暗さが何となく分かっていたからです。
競争に負け、入りたい大学から拒否され、社会の王道の入り口を塞がれた惨めな気持ち。
不合格という文字が、人生失格の烙印のごとく心に残した傷。
大学受験で振り落とされた経験は、同じ失敗をしたもの同士だからこそわかり合えるものです。
Iさんには、そんな気持ちなんて一滴も分からないようで、優しさのかけらも無い人なんだなと思いました。
こんな冷たい女性に彼氏が次々のできるのは、よっぽどモテない男性が騙されてつき合っているのではないかとも思いました。
ミニマリストからスタートした寮生活。これまでのお話はこちらの記事から始まっております。⇒なぜ、私はミニマリストから汚部屋住人になってしまったのか?|シンプルライフへの道 - シンプルライフ物語
禁断の合コン計画
Aさんに、Iさんの答えを伝えると、「やっぱり。分かった、ありがとう」と言って、合コンの話しはなくなったとばかりに思っていました。
それから数週間後、Aさんは私の部屋に来てこっそり言いました。
「今度の土曜日、私の部屋で飲み会をするから来ない?」
私は二つ返事で答えていました。
「あ、いいよ」
Aさんは、続けました。
「KさんとHくんが来るの」
「え?」
思わず聞き返しました。なぜなら、この寮は女性専用。入るときに、約束として「男性は入れてはいけません」と言われていたからです。
「大丈夫なの?」
「大丈夫、大丈夫、バレないようにやるから」
女性専用の寮に男性を入れて合コン
当日、夜8時過ぎにAさんから、部屋に来てと言われて、Aさんの部屋に入ったら、KさんとHくんがいました。すでに二人は持参したビールや焼酎を飲んでいました。
私が入ると、「花美ちゃんは、飲めるの?」とKさんに聞かれ、私は「イヤ、飲んだことありませんし、未成年なので」と答えました。
「やっぱり真面目だね、僕は高校時代から飲み歩いている」
Kさん、そこ自慢するとこじゃないし、なんて思いながら、4人でスルメやポテトチップス、柿の種を食べながら、声が外に漏れないように静かに他愛もないことをしゃべっていました。
私は、Hくんの態度がソワソワしているのが気になりました。
物音がすると、ドアの向こうに目をやっているのです、初めのうちは、下の階に住む大家さんを気にしているくらいに考えていましたが、どうやら、Iさんが帰ってくるのを待っているようでした。
Iさんは、毎週土曜日は居酒屋でバイトしていて、帰ってくるのは12時くらい。早くても11くらいまで帰ってきません。
夜12時近く、私は眠くて意識がもうろうとして、部屋に戻って寝ようと思っていた矢先。階段を昇ってくる足音がしました。その足音を聞いて、KさんとHくんは目を合わせました。
ガチャ、Iさんの部屋の扉が開いた音がしました。
Hくんは立ち上がりました。そして部屋を出て、Iさんの部屋をノックしていました。
「ギャー」Iさんの叫び声が聞こえてきました。
どうやら、寮のルームメイトかと思って部屋の扉を開けたら、そこに居るはずのないKくんが立っていたのでびっくりしたようです。
他の部屋のルームメイトも、びっくりして起きてきました。
そして、みんな、KさんとHくんがそこに居るのに驚いていました。
上の階の騒ぎに気づいた大家さんが「どうしたの?」と上がって来て、入ってはいけない男性がいるのに気づき、事情を聞き、一緒にお酒を飲んでいたAさんと私も呼び出し、私はこっぴどく叱られました。
シンプルな生活を再び目指すために、お手本にしています。⇒ミニマリストな生活 & シンプルライフ
私の欲しいものは、自信だった
私は、大家さんに叱られることよりも、HくんがIさんのことを好きだったと言うことが実は相当ショックでした。
Hくんは、美少年タイプ。大人しくて可愛らしい女性が好みだと思っていました。まさか欲望にストレートで自信たっぷりのお世辞にも美人とか可愛いとか言いがたいIさんのことが好きだなんて考えてもいなかったのです。
私はそれまで、人に嫌われないように、迷惑をかけないように親にくどいくらいに言われて育ち、その言葉をそのまま信じてきました。
だから、どんな時も「我慢するのが当然」だと考えていました。
Iさんのように、自分の欲望や本音にストレートなやり方は、私にとってルール違反をしているとしか思えませんでした。
しかし、この一件で、私は、これまで親に教わってきた価値観を疑うようになりました。
そして、私は自信というものが、圧倒的に欠けているのがはっきりと分かりました。
どうしたら私もIさんのような自信を持つことができるのか?
どうしたらコンプレックスの塊から抜け出せるのか?
を真剣に考えていました。
そして私は、ある決断をします。
長くなりました、
続きは、また来週、お楽しみに…