シンプルライフ物語

子育てと自分育て家事、断捨離、片付け、ミニマリスト、宝塚などについてシンプルラフまでの道を綴ります

なぜ、私はミニマリストから汚部屋住人になってしまったのか? 無謀な挑戦|シンプルライフへの道

1人暮らしを始めて3ヶ月くらい経ち、寮にも学校にも自分の居場所がないことが分かりました。
毎朝、「行ってきます」と一階に住む管理人さんに声をかけ、「行ってらっしゃい」と見送られ、私が出かけた先は県立図書館でした。
小高い坂の上の林の中にあった図書館は、とても静かで丸1日いても飽きることはありませんでした。
そこには、毎日、私よりも早く、学習室のテーブルを陣取っている男性がいました。毎日同じ場所に座って黙々と勉強しています。
何を勉強しているのだろうと、ある日、こっそり本の表紙を盗み見しました。

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無謀なチャレンジ

その男性が取り組んでいた本は、大学受験用の参考書でした。同じようなシリーズで何冊もありました。彼は毎日、図書館の開館から閉館までの8時間くらいを使って、黙々と勉強していたのです。

彼も私と同じで、大学受験に失敗して再チャレンジしていると知ると、気持ちがざわざわとしました。

私は大学受験失敗して自信をなくし、妥協して入学した学校では存在感ゼロ。誰にもまともに相手にしてもらえず、悶々としながら、毎日、図書館に逃げて丸一日過ごしています。それなら、この時間と場所を利用して、再チャレンジしたい。そして大学受験で失敗したために背負ってしまった劣等感を克服したい。そうすれば自信を持ってもっと楽に生きていけるのではないかと思ったのです。

私が図書館に通うようになった理由はこちらの記事でご紹介しております。⇒なぜ、私はミニマリストから汚部屋住人になってしまったのか? 存在感ゼロ|シンプルライフへの道 - シンプルライフ物語

その彼の姿を見て、私もここで受験勉強する気持ちになっていました。

内緒の受験勉強

当時、生活費2万円を親からもらうために、私は実家に毎月帰省していました。

翌月の生活費をもらいに帰ったついでに、高校時代に受験勉強で使った教科書や参考書を部屋から持ち出し、大きなカバンに詰めて家を出ました。

親はそのカバンを見て「そんなもの、何に使うの?」「まさか受験勉強でもするの?」と怪しみました。私は学校に行かずに図書館に行って受験勉強を始めるつもりだなんてひと言も言えずに、「学校で使うから」とだけ答えて電車に乗りました。

消えそうな幻灯

図書館の休館日である月曜日以外は毎日開館と同時に入館し、閉館と同時に退出して受験勉強に励みました。
受験勉強と言ってもやり方が分かりませんでしたから、ひたすら教科書と参考書とにらめっこの日々です。受験について気楽に話せる人もなく、悩んでも相談する人もなく、分からないところがあっても教えてもらう人もなく、とても孤独でした。

後に、中上健次の「十九歳の地図」を読んだとき、その主人公と当時の私の精神構造があまりにも似ていてびっくりしました。

さすがに、私は「東京駅に爆弾を仕掛けた」と警察に電話して世の中を騒がせるようなことはしませんでしたが、何者でもなく、無力で、人としてまともに相手にされない辛さは読んでいて当時の自分を思い出し、キリキリと胸が痛かった。

「大学合格」という、消えそうな幻灯だけを頼りに、生きていくしかなかった、今回もダメなら、更に膨れあがった劣等感を背負わなければならない。本当に崖っぷち状態でした。

言葉のナイフ

そんなある日。図書館の食堂で、寮から持参したおにぎりを食べていると、後ろの方で会話する声が聞こえました。

その声は、見知らぬ大人の男性の声でした。

男1「だいたい高校生くらいで、人生は決まりますね、後は人間どんなに努力してもダメですよ」
男2「そうだね、確かに見ていると高校2年くらいの実力が、大人になってもからも反映されているよね」

普段は他人の話など信じないのですが、この会話は今でも後ろから聞こえてくるくらいリアルに覚えています。

当時、高校を卒業して再チャレンジしている時に、この言葉はグサリと後ろからナイフで背中を刺されたかのようでした。そのナイフの刃は、胸まで貫通するほどショックでした。
臨まない現実を受け入れられず、そこから抜け出すために、ギリギリの精神状態の中で努力しているのに。この努力は、もしかしたら意味がないのかもしれない、そんな思いがよぎりました。

それでも1度決めたことは止めるわけには行きいません。

それから間もなく、私が学校に行かずに、図書館に通っていることは親にバレてしました。出席日数が足りないと学校から親に連絡があり、親に問い詰められて渋々本当のことを伝えました。

親は言いました。
「受かる確信はあるのか?落ちたらどうするんだ」
「大学行くならお金がないから国公立しかダメだぞ」

私は心の中で思いました。「落ちる可能性99,9%」

それでも、劣等感を克服して自信を付けるために止めるわけにはいきません。

「多分、今度は大丈夫だと思う」弱弱しく答えていました。

長くなったので、続きはまた来週…

続きはこちらです。⇒なぜ、私はミニマリストから汚部屋住人になってしまったのか?満たされない欠乏感|シンプルライフへの道 - シンプルライフ物語 - シンプルライフ物語