物にストーリーがくっつくと、とても貴重な存在に化けてしまいま すよね。
例えば、このタオルや毛糸でつくったマスコット人形。
これは、私の祖母が作りました。
晩年、デイサービスに通うようになり、そこで製作したようです。 元々不器用な人でしたが、年老いて更に不器用になり、ゴツゴツし た指で一生懸命、結んだり、丸めたりしながらこしらえたものです から、今でも触れば、祖母の手の温もりが残っているような気がし てしまいます。
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祖母が亡くなって10年以上経ち、ずいぶん汚くなってしまったの ですが、私にとっては、一生手放せない思い出の品であり、 宝物なのです。
こういう物は、こっそりタンスの引き出しの奥にしまい込み、普段 は気づかないでいて、時々何かの拍子にひょっこり出て来て、当時 の思い出に浸るくらいがちょうど良いですよね。
そんな思い入れの強い大事な物など、簡単に捨てられるわけがあり ません。
しかし、このような思い出の品を残しておくと問題になるのは、今 使うものと混在して、使うものが使わないものに埋もれてしまうこ とです。
そうなると、捜し物が多くなりますし、生活に支障をきたしてしま すから、思い出の品を捨てなければならないというところまで追い 込まれてしまうのですね。
だったら、思い出の品と今使う場所は完全に切り離してしまえば、 思い出の品があっても今の生活を邪魔することはありません。
そこで私が密かにやっているのが、四次元引き出しです。
*トラコミュ*
片づけの参考にしております。⇒収納・片付け
四次元引き出しで、過去と現在を自由に行き来しよう!
四次元引き出しとは、思い出の品を詰め込んだ引き出しです。
家中 の思い出の品を集めて、タンスの引き出しをひとつだけ開け、その 中に入る分だけの思い出の品を詰めます。
入りきれない物は、段ボールなどに入れておきます。
そして時々、この引き出しを開けて、過去の思い出に浸りきります 。
思い出の品は、非生産的で感傷的なもの、過去の終わったものです が、とても強いパワーがあると思っています。
例えば、この人形は、うちの子が生まれたばかりの時に作りました 。
体重と身長が、出生時の時と同じです。
「こんな人形いつまでも 取っておくなんて、お前はアホか」
と主人に何度もバカにされまし た。しかし、私はこの人形にはずいぶん助けられましたし、今もお 世話になっています。
反抗期になって、暴言を吐き、暴れ出した子どもに毎日イライラし て怒り狂ってしまう時、この人形を抱くと、 全てが許されてしまうのです。
この人形を捨ててしまっていたら、今頃、親子の事件を起こしてし まっていたかもしれません。
「思い出は、ものではなく心の中にある」という考え方もあります が、いざという時に強力な力を発揮するのはやはり物なのですよね 。
思い出は、記憶から遠くなるにつれて、薄くなってしまうような気 がします。
怒り狂っているときに、そんなあやふやな記憶で気持が収まるわけ がありません、
そういう意味で、はやり思い出の品はムリに捨てる必要も無いのか なと思ったりしています。